夜間の換気による湿度上昇(夜間換気ナイトパージ)に気を付けてください

夜間の換気(ナイトパージ)の意外な落とし穴

コロナ禍で換気をする機会が多くなってきましたが、換気のメリットとして、室内の空気中にたまった二酸化炭素や不純物、ニオイを排出し、新鮮な空気を取り入れることができます。また、省エネの手段としても、こもった熱を夜間に排出し、開店時の空調負荷を下げるメリットがあります。

湿度(しつど)に気を付けて(あるパチンコ店さまの悩み)

しかし気をつけなければいけないのは、外気を取り込む際の湿度です。あるパチンコホールの設備担当者さまが、パチンコの玉が湿度により結露し、搬送不具合を起こしてしまうので、どうすればいいか相談に来られました。また、その湿度により開店時に冷房を入れてもじめじめした空気で、なかなか快適にならないとのことでした。よく聞いてみると夜間に空気を入れ替えておくと省エネになると聞いて、夜間の換気(ナイトパージ)をされていました。施設の場所にもよるのですが、ほとんどの場合、昼間よりも夜間の方が湿度は高いです。店内の温度を下げるために換気をして夜間の涼しい空気を取り込みたい気持ちはわかるのですが、よほどの山間部でなければ、都心では、夜も昼と変わらず暑いことが多いです。実際、夏の昼間と夜間の温度差は約5度程度です。

雨の日の換気は湿度(しつど)上昇の原因に

そこで「開店時に換気をする程度で十分です」と、アドバイスをさせていただきました。もともと湿気の多い地域だったのかもしれませんが、特に雨の夜に換気をすると、湿度は上昇しとても湿気の多い状況になります。快適性は温度だけでは測れません。湿度のことを考えて、湿度が高い場合は換気をしないようにしている優れた換気システムも存在します。ただ単に屋内と屋外の温度差だけで計測もせず、換気をすると湿気まで取り入れてしまうので気を付けなければいけません。

相対湿度(%)と、絶対湿度(g/m3)

また、空気1立方メートル中に入ることができる水蒸気の量をgで表したものを飽和水蒸気量といいます。 飽和水蒸気量は、温度とともに変化します。 たとえば10℃の空気1立方メートルには、最大9.4gまでの水蒸気しか入ることはできませんが、20℃の空気1立方メートルには最大17.3gまでの水蒸気が入ることができます。ですので湿度のパーセント(相対湿度)が低くても、実際の水蒸気(絶対湿度)が高い場合は、むし暑くなります。湿度センサーも絶対湿度のわかるセンサーで検知し、適切な湿度を保ちながら換気することが重要となります。どれだけ温度が低くても、絶対湿度が高いと本末転倒になってしまいます。

蒸し暑い夏の夜の換気は、翌朝まで蒸し暑さを持ち越してしまいます!ですので、くれぐれもご注意ください。

 

このコラムを執筆した人:
網島 弘幸
パチンコ店 ホームセンター