パチンコ店さまからご相談が寄せられました!
とあるパチンコチェーン店さまから新型コロナウィルス等、ダクト内で殺菌する方法があるようだが、効果はあるのですか?とご質問が寄せられました。しかも1件ではなく、結構なご相談が寄せられていますので、パチンコ店さまの間でそのような話が出ているのでしょうか。
省エネのプロである弊社でその疑問、ご相談にお答えます!
ダクト殺菌とは
換気ダクトに紫外線殺菌ランプを設置して、換気ダクトを通る空気を殺菌する方法は、「ダクト殺菌」と言われています。新型コロナウイルスが世界中に蔓延して最近ではビル管理などで注目を集めていますね。
ダクト殺菌に必要な殺菌ランプの灯数は、以下の計算で算出することができます。一般的に使用されているGL30の殺菌灯を対象に計算してみます。大きさは、直径がΦ25.5mmで長さが893mmです。通常の蛍光灯の長いタイプとよく似ていますね。今回ご紹介する計算式は、大腸菌の殺菌率を99.9%にすることが期待できる灯数を求めるものです。
ただし雰囲気温度、湿度などにより効率低下があるので、十分に注意する必要があります。
(参考:https://www.iwasaki.co.jp/optics/chishiki/uv/07.html)
ダクト殺菌の取付け灯数の算出
N=KL/CRD
N:必要灯数
L:ダクト内の空気流量(m3/min)
D:ダクト断面の直径(m)
K:殺菌ランプによる係数(GL30の場合は0.08)
C:ダクト形状による補正係数(円形の場合は1.0)
R:ダクト形状内面の反射率による係数(反射率0の場合は1.0)
実際に値を入れてみましょう。
弊社でお預かりしている図面よりあるパチンコ店さまの計算をしてみました。計算結果は以下となります。
L:146(m3/min)
D:0.5(m)
この値を代入して計算すると、換気1機につき、N=23.3となります。
ダクト1本につき23本の殺菌灯が必要
直径50cmのダクトの中に、最低でも23本殺菌灯を設置しなければなりません。このパチンコ店の場合は、ホールだけで換気ファンが4機あるので、23x4=92本の殺菌灯が必要になります。
1カ所につき23本も設置!
4カ所で92本!
果たしてこれに係る電気代は?電力は?
年間”37万円”の出費!
30Wx92本=2,760W=2.76 kWh となります。
電力単価を16円/kWhとして、1日13時間で1年換算すると、209,539円/年の出費となります。
寿命は8,000時間なので、1日13時間稼働したとして、1.68年に1回、92本取り替えなければなりません。1本安くて3,000円くらいなので、1年換算すると、164,285円/年の出費となります。
電気代と殺菌灯の出費を合計すると、年間373,824円の出費!となります。
ダクト殺菌がコロナに効くかどうかは現段階では立証できていません、そして高コストがかかるのと、1本のダクトに23本も殺菌灯を設置するのは、至難の業ですね。なので、ほとんどの場合、室内にぶら下げて直接照射する、「室内空気殺菌」の方法をとる場合が多いようです。
しかし、これはあるパチンコ店の例ですので、換気量もダクト径も様々ですので、一度換気の図面を見ながら計算してみるのもいいかもしれませんね。
新型コロナウイルス対策としてどうなのか?
今回の算出はあくまでも大腸菌に対しての殺菌の算出です。最近では研究が進んでいますが、現状では新型コロナウイルスの抑制効果があるとされる222nm紫外線が、早ければ2021年初頭にも国内で実用化されそうです。
ウイルスの99%抑制にかかる時間の目安は、光源からの距離が0.5mの場合で20秒、同1.5mで2分24秒、同2.5mで6分42秒となるとのこと。
ですので、どういう機器がコロナ対策で発売されているかわかりませんが、上記が参考になれば幸いです。
現段階では消費者庁も新型コロナウイルスに対する製品やサービスに注意喚起をしていますのでご注意ください。
消費者庁注意喚起書面
https://www.caa.go.jp/notice/assets/200310_1100_representation_cms214_01.pdf