COP30(第30回気候変動枠組条約締約国会議)
2025年11月10日から21日まで、ブラジル北部・パラ州ベレンで開催されるCOP30は、「宣言から実行へ」と世界が踏み出す節目となる会議です。

ベレン気候サミット代表団長の写真撮影に臨むアントニオ・グテーレス国連事務総長とブラジルのルイス・イナシオ・ルーラ・ダ・シルバ大統領。
写真:国連気候変動/キアラ・ワース(Flickr経由)
今回の特徴
今回のCOPは、これまでの目標設定中心から、「実行・実装」フェーズへの転換が最大の特徴です。温室効果ガス削減に加え、適応(Adaptation)・損失と被害(Loss & Damage)・森林保全・資金支援など、行動の裏付けとなる議論が中心に据えられます。開催地ベレンはアマゾン流域の都市であり、森林と気候の象徴的な場所として注目されています。
会議の意義
グテーレス国連事務総長は「1.5℃目標を逸脱するのは道徳的失敗」と警鐘を鳴らし、各国に“約束の履行”を迫っています。COP30では、途上国支援・資金拠出・技術移転といった「公平な責任分担(気候正義)」が重要なテーマとなります。また、パリ協定で定められた国別削減目標(NDC)再提出サイクルの節目でもあり、今後10年の気候政策の方向性を決める鍵となります。
開催国ブラジルの思惑
ブラジルはアマゾン保全をアピールしつつ、再生可能エネルギー大国としての立場を強化したい考えです。同時に、国際交渉で森林国としての発言力確保を狙っています。一方で、油田開発や伐採など矛盾する政策も抱え、“言行一致”が問われる場にもなっています。
まとめ
COP30は、世界が「約束を実行へ移すかどうか」を試される会議です。気候変動対策が経済・産業政策と不可分になる中、省エネ技術・再エネ・脱炭素ビジネスの重要性はさらに高まります。アマゾンの地から発せられる議論は、次の10年の世界の環境・エネルギー戦略を大きく左右するでしょう。



