2024年のCOP29は「資金COP」とも呼ばれ、地球温暖化の影響を最も受けやすい開発途上国への支援が重要なテーマになっています。今回の会議で焦点となるのは、新たな気候資金目標の設定や、途上国における持続可能な発展のためのサポートです。これは、以下のような主要な課題を踏まえたうえでの取り組みです。
開催国アゼルバイジャン(バクー):アゼルバイジャンは石油・ガス産業に大きく依存する国であり、気候変動対策におけるリーダーシップが問われています。また、国内の市民社会との協力不足や抑圧的な政治体制が指摘されており、COP29の成功に向けてこれらの課題への対応が求められています。
1. 新たな気候資金目標の設定
COP29では、先進国から途上国への気候変動対策支援として、2025年以降の新たな資金目標(NCQG)の設定が求められています。これまでの年間1,000億ドルの目標は、達成が遅れて不満が募っていることから、さらなる規模と確実な提供が望まれています。
2. 各国の削減目標(NDC)の強化
気候変動の悪影響を抑えるためには、パリ協定の1.5℃目標の達成が不可欠です。そのため、2035年までに各国がより野心的な削減目標を掲げ、これに向けた取り組みを強化することが求められています。
3. 炭素市場のルール策定
パリ協定第6条に基づき、国際的な炭素市場の詳細な運用ルールを策定することも、COP29の主要な議題です。効果的な炭素市場の構築により、低炭素の取り組みが促進され、国際的な排出削減が進むことが期待されています。
4. 損失と損害(ロス&ダメージ)への対応
気候変動の影響による不可避な被害に対し、特に途上国が受ける損失や損害に対応するための支援策や基金が求められています。この議題は、気候変動の影響を受けやすい国々にとって、適応策を超えた重要なテーマとなっています。
5. 非国家アクターの参加
民間企業や地域自治体、非政府組織(NGO)などの非国家アクターの役割がますます重要視されています。COP29では、こうした非国家アクターが気候変動対策にいかに貢献できるかを明確にし、持続可能な解決策の提案や実行における役割を強化する議論が進められています。
発展の権利と「気候正義」
産業革命期において、先進国は環境への配慮をすることなく経済発展を遂げ、それが今の経済的繁栄の基盤となっています。しかし、これから経済発展の段階に差し掛かる開発途上国には、CO₂排出を抑えるよう求められている現実があります。今の途上国は人口も増加しており、経済発展が急務です。
この発展の時期にCO₂排出を理由に制約をかけることは、途上国にとって不公平に感じられます。一方で、気候変動による影響はすでに途上国にも広がりつつあり、環境保護と発展のバランスをどう取るかが難題となっています。そのためCOP29では、先進国が途上国に十分な支援を提供し、持続可能な発展が実現できるような具体的な資金や技術支援が求められています。
先進国が歴史的責任を果たし、途上国が発展と環境保護の両立を図れるような支援策を打ち出すことが、今大会の成否を左右するでしょう。このCOP29が、持続可能な未来への道筋を描き、地球全体での公正な解決策に一歩近づく会議となることを期待しています。
