砂漠国家の挑戦:サウジアラビアの環境問題への取り組み

石油産出国として世界経済を支えてきたサウジアラビア。しかし近年、環境問題への意識の高まりとともに、持続可能な社会を目指す取り組みを加速させています。

石油依存からの脱却

2021年10月、ムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、2060年までにネットゼロ排出達成を目指す「サウジアラビア・グリーン・イニシアチブ(SGI)」を発表しました。石油への依存度を下げ、再生可能エネルギーへの転換を強力に進めています。

太陽光発電の推進

SGIの柱の一つは、太陽光発電の積極的な導入です。広大な砂漠地帯を活用し、2030年までに国内電力需要の50%を再生可能エネルギーで賄うことを目標としています。すでに、世界最大規模の太陽光発電所建設プロジェクトも進行中です。

植林による砂漠緑化

環境問題のもう一つの課題は、砂漠化の進行です。SGIでは、10億本の植樹計画を進め、砂漠の緑化による環境改善と生物多様性の保全を目指しています。

国際的な協力

サウジアラビアは、国際的な環境協調にも積極的に取り組んでいます。2021年11月には、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)に出席し、排出削減目標の強化を表明しました。

課題と展望

これらの取り組みは画期的ですが、実現には多くの課題も存在します。技術開発や資金調達、人材育成など、克服すべきハードルは少なくありません。しかし、サウジアラビアの環境問題への取り組みは、産油国が脱炭素社会を目指すモデルケースとなる可能性を秘めています。今後の進展に注目したいと思います。

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このコラムを執筆した人:
網島弘幸