ノルウェー:EV普及率世界一の先駆者

ノルウェーは、人口550万人の国で、人口密度が14.4人/㎢という少なさで、車無しでは生活できない国です。また、あまり知られていないですが、世界10位の石油輸出国であり、天然ガスについては世界3位の輸出量を誇る資源大国でもあります。そんな状況にあるのにもかかわらず、2022年末時点で新車販売台数の86.2%をEVが占める、世界で最もEV普及率の高い国です。これは、2021年の65%から更に20%以上も上昇しており、驚異的な速度でEVが普及していることを示しています。

環境への意識と政府の強力な支援

石油産出国でありながら、脱石油と環境問題への意識が高いノルウェー国民は、EVを積極的に選択しています。2022年時点で、ノルウェー国民の70%以上がEVを次の車として検討していると回答しており、その高い意識が伺えます。さらに、政府はEV普及を促進するために、様々な政策を積極的に推進しています。具体的には、以下のような政策が挙げられます。

  • 免税・減税:EV購入時の免税、自動車税・付加価値税の減税
  • 公共駐車場の無料利用
  • 充電インフラ整備:2023年末時点で約2万基の充電器を設置
  • 公共交通機関の電動化:バスやタクシーなど、公共交通機関のEV化を推進

これらの政策により、EVの購入価格がガソリン車と同程度になり、充電も容易にできる環境が整備されています。

EV普及の成果と課題

EV普及により、CO2排出量の削減や経済効果などの成果が生まれています。2022年には、ノルウェーの運輸部門におけるCO2排出量は、1990年比で25%減少し、このうちEVが約10%を占めると推定されています。また、EV産業は新たな雇用創出や経済成長を促進しています。2022年時点で、ノルウェーのEV関連産業は約7万人の雇用を創出しており、今後も更なる成長が見込まれています。

一方、EV普及には課題も残されています。

  • 車両価格:EVはガソリン車よりも車両価格が高く、購入を躊躇する人もいる。
  • 充電インフラ:都市部では充電インフラが充実しているが、地方では不足している。
  • 航続距離:EVの航続距離はガソリン車よりも短く、長距離移動には不向き。
  • 電力系統への負荷:EVの普及により、電力系統への負荷が増加する可能性がある。

これらの課題に対して、政府や自動車メーカーは技術開発や政策支援を通じて解決に取り組んでいます。

未来への展望

自動運転技術やバッテリー技術の進歩、政策支援の継続により、EV普及はさらに加速していくと予想されます。2025年にはタクシーは100%EVにすることになっています。

  • 自動運転技術:自動運転技術の進歩により、EVの利便性がさらに向上し、普及が加速する可能性があります。
  • バッテリー価格の低下:バッテリー価格の低下により、EVの価格が下がり、より多くの人が購入できるようになる可能性があります。
  • 政府の政策支援:政府は、EV普及目標の達成に向け、更なる政策支援を検討していくと予想されます。

ノルウェーは、EV社会の実現に向けて世界をリードする存在であり続けるでしょう。

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このコラムを執筆した人:
網島弘幸