世界で最も汚れた都市:ネパールの深刻な大気汚染
ネパールはヒマラヤ山脈の麓に位置する美しい国として知られていますが、近年深刻な大気汚染問題に直面しています。首都カトマンズは、世界で最も汚染された都市の一つとしてランクされています。ネパールのPM2.5大気汚染による年間平均曝露量は、99.73(㎍/1㎥)(2017年)となっており、日本の11.7(㎍/1㎥)(2017年)と比べると、8.5倍汚染されています。
汚染の原因
ネパールの都市部における大気汚染の主な原因は以下の通りです。
自動車排気ガス:
- ディーゼル車やオートバイの増加により、PM2.5などの有害物質が排出されています。
レンガ窯:
- レンガ製造過程で発生する煤煙が、大気汚染に大きく貢献しています。
ゴミ焼却:
- 適切な処理施設が不足しているため、ゴミが焼却され、悪臭と汚染物質を発生させています。
森林火災:
- 冬季には乾燥した森林火災が発生し、煙が都市部にまで達します。
地形:
- カトマンズ盆地は山々に囲まれており、汚染物質が滞留しやすい地形となっています。
健康被害
大気汚染は、ネパール国民の健康に深刻な影響を与えています。
呼吸器疾患:
- 肺炎、喘息、慢性閉塞性肺疾患 (COPD) などの呼吸器疾患が急増しています。
心臓疾患:
- 心筋梗塞や脳卒中などの心臓疾患のリスクが高まっています。
癌:
- 肺癌やその他の癌の発症率が上昇しています。
早死:
- 大気汚染による健康被害が原因で、年間約1万人が命を落としていると推定されています。
政府の対策
ネパール政府は、大気汚染問題への対策として以下のような取り組みを進めています。
車両規制:
- ディーゼル車やオートバイの排気ガス規制を強化しています。
レンガ窯の改善:
- 環境に配慮したレンガ窯の導入を推進しています。
ゴミ処理施設の整備:
- 適切なゴミ処理施設の建設を進めています。
植林:
- 森林火災を防ぐために植林活動を行っています。
公衆衛生教育:
- 大気汚染の健康被害に関する啓蒙活動を実施しています。
課題
これらの対策は着実に進められていますが、大気汚染問題の解決には、更なる努力が必要です。
資金不足:
- 対策に必要な資金が不足しています。
法執行力:
- 規制を徹底するための法執行力が必要です。
国民の意識:
- 国民一人一人の環境意識を高める必要があります。
国際協力
ネパール政府は、国際機関や各国からの支援を受けながら、大気汚染対策を進めています。
未来への希望
ネパール政府、市民社会、国際機関が協力し、大気汚染問題に取り組むことで、ネパール国民の健康を守り、美しい環境を取り戻すことが期待されます。
私たちにできること
ネパールの現状を知り、大気汚染問題に関心を持ち続け、環境問題に取り組む団体や活動への支援を検討することや、資源の無駄遣いを控え、環境負荷を減らす生活を送ること。ネパールの大気汚染問題は、地球規模で取り組むべき課題です。一人一人が行動を起こすことで、より良い未来を築くことができるでしょう。
