COP27が会期延長日の徹夜明け(11月20日)に閉幕

会期延長後、徹夜明けで決着

エジプトのシナイ半島にある、シャルム・エル・シェイクで開催されていた、COP27は、もめにもめ会期を1日延期したのですが、それでも徹夜で議論を続け20日の午前にようやく決着がつきました。

「損失と被害」を支援する基金の創設

今回、温暖化による「損失と被害」を支援する基金の創設が合意されました。発展途上国が、30年前から求めていた「損失と被害」への資金援助にやっと一歩踏み出すことができました。先進国であるアメリカなどは、法的責任や補償に結びつき賠償額が膨大になると反対していたのですが、EUが基金設立を、容認したあとに同調するという形で合意しました。198の国と機関が参加し、全会一致が原則なので、凄まじい議論がぶつかりあいました。

支援対象の国は?

支援対象となる国や、資金拠出の方法などは、来年のアラブ首長国連邦で開催予定の、COP28で決めることになっています。

問題点

石炭火力の段階的削減など、再生エネルギーに関する合意内容は、昨年のCOP 26の合意内容の踏襲に止まったのですが、低排出エネルギーも重要な排出削減対策として認められました。

低排出エネルギーとは

「低排出エネルギー」の定義は議長国から示されていませんが、日本政府は、早くも石炭発電にアンモニアを混ぜてCO2の排出を減らす手法を「低排出エネルギー」に含まれるとの考えを示しています。これは、石炭火力を延命させるための逃げ道になっているのではないかとの、懸念が持たれています。

国の発展と気候変動問題

経済•社会活動が活発になると、どうしてもエネルギーを消費して、二酸化炭素を排出してしまいます。すでに発展を遂げた先進国は、その過程で二酸化炭素を大量に排出してしまいました。その被害を受けているのが、これから発展していこうとしている発展途上国です。もし、この発展途上国に先進国と同じような二酸化炭素の排出制限をしてしまうと、国としての成長や発展が難しくなってしまいます。「発展」と「二酸化炭素の排出」は、どうしても同時進行してしまうという、避けられない現実があります。